6/3日に弊社で「今考える。アフターコロナのサーキュラーエコノミーVo.2」なるオンラインセミナーを開催させてもらいました。今回も50名を超える方にご参加いただきました。(ありがとうございました)

で、その内容は別の機会に譲るとして、そこで触れられていた、極めてオランダ的な?面白い仕事の仕方をご紹介します。

そのセミナーでは、Except Integrated Sustainability というサステイナブルなプロジェクト専門のクリエイティブエージェンシーのTomがKeynoteをやってくれました。

若くしてこの会社を立ち上げ、今ではオランダを代表するサステイナブルプロジェクトの専門家で、実際に紹介してくれたプロジェクトは世界先端&スケールの大きいものばかりで、「すげー!」って感じの物ばかり。日本ではまだまだ行われていない&知られてないものばかりなので、今度、改めてこのブログでも紹介しようと思います。

で、「サステイナブル」そのものではないのですが、そのTomの話から極めてオランダ的だなあと思ったことを2点挙げてみます。

 

IKEAのカタログをいかにしてサステイナブルにするか?

一つ目はIKEAのプロジェクトで、「カタログのサステイナビリティを考えて欲しい」というお題に対して出した解決方法。あ、IKEAのカタログっていのは世界で最大の発行部数を誇るカタログで、その制作、印刷、配布などなどの工程では、それはそれは大変な量のエネルギーや地球資源が消費されているのです。

で、簡単に言うと、そのお題に対して彼らがやったのが、「カタログ制作(印刷)会社のサステイナブル評価のデータ化」。一瞬「?」っていう感じだと思いますが、これによりカタログ発注元のIKEAは、どの制作会社が一番サステイナブルな印刷会社か?が分かるので、世界にちらばる300社以上の制作会社の選定が容易になり、結果的にカタログのサステイナブル度も一気に上がる、というもの。

ちなみに、各カタログ制作会社のサステイナブル度は、会社のエネルギー使用量とか、環境配慮度合とか、資源消費量みたいなオリジナルの指標で評価するようです。なので、この指標作りや、そのデータ化をしたというのが、実際に彼らのやったことになります。

ここで面白いのは、通常はこういうお題の時には、いかにIKEA自体のサステイナブル度をあげるのか?というところを考えて、いろいろと提案すると思うんです。が、彼らがやったのは、結局IKEA自体ではなく、その協力会社のサステイナブル度をあげることとして考えたということ。おそらく突然、このサステイナブル度を、勝手に評価されることになった印刷会社の中には「チクショー!なんだよ、このTomってやつ。突然横からしゃしゃり出てきて。大事なお得意先であるIKEAさんの仕事が、なくなったじゃねえか!!」って怒ってる人がいっぱいいると思いますw でも、そういうことは当然お構いなく、直接の対象者を改良するのではなく、その先にある協力会社をソリューションの対象として、メスを入れるという。なんと言うか、他人のフンドシで相撲をとる的な、それでいてお得意先は喜ぶし、誰も文句は言えないという、なんか、極めてダッチ的な解決方法だと思いました。

 

世界最大の屋上公園設計

もう一つは、世界最大の屋上公園設計の話。アメリカのサンフランシスコで7年かけて行い、2019年にすでに施工完了しているものです。が、ここも、元あった道路を屋上公園としてリニューアルする、という話だったものを、周辺のビル全てを巻き込み、「おたくのビルの価値を(公園をつくることによって)ググッと引き上げますから、この公園設計のプロジェクトにお金を出してください。おたくのビルの価値が上がったら、その価値が上がった分の10%(実際には何%とかは忘れたけど)でいいから」って言って、周りのビルを全部説得して、結局、全米で最大の予算規模のプロジェクトにして、最大の屋上庭園を作ってしまったという話。あ、それで結局、周りのビルの価値も当然、爆上がりしたんですが…w

これも極めてダッチ的だなあと思いました。なんか、他人を勝手に巻き込むけど、プロジェクトを結局、成功に導いて、巻き込まれた人たちも結局、得してしまう感じが。。。

で、両方ともサステイナブルなプロジェクトで、結果的には地球環境に貢献してて、しかも利益も上げる(あるいは、当事者にとっては安い予算で実行できる)ということになっているのです。

まだ日本では、「サスイナブルは儲からないからな〜」って言っている人が大勢いると思いますが、オランダは「実はサステイナブルこそ儲かりますよ。まあ、大きい声では決して言いませんが」あるいは「サステイナブルは儲からないよね〜」って意見に、静かに笑って頷いている感じなのです。だって、「サステイナブルは儲かる」ってことに世界中の人が気付いたら、自分たちの儲けがすくなくなっちゃいますからね。

まあ、これは半分冗談で、サステイナブルなプロジェクトは世界中で推進しないといけないので、みんなでやりましょう。やり方もどんどん紹介しますよ。って言ってます。

なので、このセミナーで紹介した事例については、追ってこのブログでも取りあげるとして、今回は、極めてオランダ的な仕事のやり方、進め方だなあと思った点をご紹介しました。

こんな感じなので、オランダで仕事するって結構タフだと思いませんか?そう、結局グローバルで仕事するっていうのは、こういう連中と一緒にやっていく、っていうことなんですよね。

海外との仕事で、「こんな経験ある!」って方がいたら教えてください。

 

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